外国人従業員を雇用する企業が増えるなか、「就業規則をきちんと理解してもらえているか」という課題に直面する人事・労務担当者は少なくありません。言語の壁や文化の違いから、日本人従業員と同じ方法では十分に伝わらないこともあります。本記事では、外国人従業員に就業規則を確実に周知するための方法と、押さえておきたい注意点を整理します。
なぜ外国人従業員への周知が重要なのか
就業規則には、労働時間や賃金、休暇、服務規律、懲戒など、働くうえで欠かせないルールが定められています。これらが正しく伝わっていないと、後々のトラブルにつながりかねません。
特に外国人従業員の場合、日本の労働慣行や文化的な前提が共有されていないことが多く、「言わなくても分かるはず」という暗黙の了解が通用しないケースがあります。たとえば、遅刻や欠勤の連絡方法、有給休暇の取得手続き、退職時のルールなどは、母国の慣習と異なることも珍しくありません。
こうした認識のずれを放置すると、業務上のトラブルだけでなく、不当な扱いを受けたと感じさせてしまう可能性もあります。就業規則を母国語で正確に理解してもらうことは、従業員の安心感を高め、定着率の向上にもつながります。
就業規則の「周知義務」とは
労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する事業場に就業規則の作成・届出を義務づけるとともに、作成した就業規則を労働者に「周知」することを求めています。
ここでいう周知とは、単に就業規則を作成しただけでは足りず、労働者がいつでも内容を確認できる状態にしておくことを意味します。具体的な周知方法としては、次のようなものが認められています。
- 各作業場の見やすい場所に掲示・備え付ける
- 書面を労働者に交付する
- パソコンなどの電子機器でいつでも確認できるようにする
外国人従業員に対しても、この周知義務は当然に適用されます。日本語のみの就業規則を渡しただけでは、内容を理解できる状態とは言いにくく、実質的な周知が果たされていないと判断されるリスクもあります。母国語での内容理解を支援する取り組みが望まれます。
ポイント: 周知は「渡すこと」ではなく「内容を確認できる状態にすること」です。言語の壁がある場合、その壁を越える工夫まで含めて考える必要があります。
外国人従業員に周知する具体的な方法
1. 母国語に翻訳した就業規則を用意する
最も効果的なのは、就業規則を従業員の母国語に翻訳して提供することです。英語・中国語・ベトナム語など、自社で雇用している従業員の言語に対応した版を用意することで、内容の理解度が大きく向上します。
近年は、日本語の就業規則を自動で多言語に翻訳できるツールも登場しており、翻訳の手間やコストを抑えながら多言語対応を実現できるようになっています。
2. スマートフォンで確認できるようにする
外国人従業員のなかには、自宅にパソコンがない、紙の書類を保管する習慣がないという人も少なくありません。スマートフォンでいつでも就業規則を確認できる環境を整えることで、必要なときにすぐ内容を参照できるようになります。
3. 入社時の説明とあわせて行う
就業規則を渡すだけでなく、入社時のオリエンテーションで重要なポイントを口頭で説明することも有効です。特に、勤怠のルールや給与の仕組み、休暇の取り方など、トラブルになりやすい項目は丁寧に伝えましょう。
周知の際に注意すべきポイント
翻訳の正確性に注意する
就業規則は法的な文書であるため、翻訳の正確性が重要です。機械翻訳をそのまま使う場合でも、賃金や懲戒など重要な条項については、意味が正しく伝わっているか確認する姿勢が大切です。
「理解したかどうか」まで確認する
就業規則を配布・翻訳しても、実際に読んで理解してもらえなければ意味がありません。特に外国人従業員の場合、遠慮して「分からない」と言い出しにくいこともあります。内容を確認したかどうかを把握できる仕組みがあると安心です。
更新時にも再周知する
就業規則を改定した際は、変更内容を改めて周知する必要があります。古い情報のまま運用されることのないよう、最新版が全従業員に届く仕組みを整えておきましょう。
「配って終わり」にしないために
外国人従業員への就業規則の周知で最も大切なのは、「渡した」「翻訳した」で満足せず、「読んで理解してもらえたか」までを確認することです。
とはいえ、誰が読んだのかを紙やメールで一人ひとり追いかけるのは現実的ではありません。多言語翻訳・スマートフォン対応・既読確認をまとめて行える仕組みを活用すれば、周知のプロセスを大幅に効率化できます。
就業規則の周知は、コンプライアンスの観点だけでなく、外国人従業員が安心して働ける環境づくりの第一歩でもあります。自社の状況に合った方法で、確実な周知を実現していきましょう。
「読んだかどうか」まで管理できる就業規則アプリ
Shuuchiは、就業規則やマニュアルを4言語(日本語・英語・中国語・ベトナム語)に自動翻訳。スマートフォンでいつでも確認でき、誰がどこまで読んだかを管理できます。外国人従業員のいる職場の周知を、もっと確実に。
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